polestarのブログ

淡水パールやスワロフスキー・天然石を使ったアクセサリーや雑貨を制作しています。

モーニンググローリー ~2つの青~

宮沢賢治の「オホーツク挽歌」という詩の中で、モーニンググローリーが登場します。「朝顔」です。

f:id:Megrez:20200612091714j:plain

がま口「モーニンググローリー」

しづくのなかに朝顔が咲いてゐる モーニンググローリーのそのグローリ…

 

しかし、詩を読み進めると実はハマナスの花だったようです。

 

この「オホーツク挽歌」は宮沢賢治樺太に旅行した時の心境がつづられた詩。

いつも私の作品になっている「銀のモナド」が出てくる「青森挽歌」の数日後に書かれています。

 

もちろんこのオホーツク挽歌でも、最愛の妹「とし子」のことにも触れられていて、

詩の中に出てくる「2つの青」はどちらもとし子の特性だと言っています。

わびしい草穂(くさほ)のひかりのもや

緑青(ろくしょう)は水平線までうららかに延び

雲の累帯構造のつぎ目から

一きれのぞく天の青

強くもわたくしの胸は刺されてゐる

それらの二つの青いいろは

どちらもとし子のもってゐた特性だ

わたくしが樺太のひとのない海岸を

ひとり歩いたり疲れて睡ったりしてゐるとき

とし子はあの青いところのはてにゐて

なにをしているのかわからない

とど松やえぞ松の荒さんだ幹や枝が

ごちゃごちゃ漂ひおかれたその向ふで

波はなんべんも巻いてゐる

その巻くために砂が湧き

潮水はさびしく濁ってゐる

(十一時十五分 その蒼じろく光る盤面)

 

 

2つの青…水平線までうららかに延びる「緑青」、雲の累帯構造のつぎ目から一きれのぞく「天の青」です。

 

緑青(ろくしょう)というのは、結構みなさん日常的に目にしている色なのですが…簡単にいうと銅が錆びた時の色です。

 

10年玉がうっすらと緑色になっていることがあるでしょう。

あの色が緑青です。

海だからこんな↓感じなのでしょうか?

f:id:Megrez:20200612100905j:plain

nico JUNさん:写真AC

このがま口では表の上の部分で緑青を表現したかったのですが、純粋な緑青カラーとは少し違っているかも…です。

 

2つめの「青」は「天の青」。

天の青というとラピスラズリをイメージしやすいかもしれませんが、このシーンは昼間なので、鉱石でたとえるならラピスラズリよりも天青石(セレスタイト)のような色になるのでしょうか。

 

f:id:Megrez:20200612095721j:plain

かずなり777さん:写真AC

 

この詩の冒頭部分では次のように描かれています。

海面は朝の炭酸のためにすっかりさびた

緑青のところもあれば藍銅鉱(アズライト)のところもある

むかふの波のちぢれたあたりはずゐぶんひどい瑠璃液(るりえき)だ…

 

瑠璃液の瑠璃がラピスラズリの和名だから、「ずゐぶんひどい」ときているから2つ目の青はやはり天青石の青なのでしょう…

 

2つ目の「青」はがま口の内側に広がっています。

f:id:Megrez:20200612095152j:plain

2つ目の青

 

私が持っている宮沢賢治詩集(白鳳社)の「オホーツク挽歌」解説部分には、高村光太郎の「千鳥と遊ぶ智恵子」に似ている旨が紹介されており、次の一節が印象的でした。

 

…その智恵子もまた<人間商売さらりとやめて、もう天然の向うへ行ってしまった>人なのだ。妹と妻の違いはあっても…愛情の切なさに変わりはあるまい。